この記事の読了目安は約 21 分です。

moneyexchange
クタ付近で一番表示レートが良かった両替所の看板。

やられた!全然気が付かなかった……。

今思えば、やけに丁寧に並べられたお札。お札の枚数を多くするために一番金額の高いお札では無く、二番目に高いお札。それ未満のお札だと疑問を抱きやすいから、二番目にしたのだろう。

僕は完全に信用して、綺麗に騙された。騙されたと気付いたのは、ホテルに戻ってから。その時既に両替を終えてから、2時間ほど経っていた。

危険を冒すことになるかもしれないし、時間が無駄になるかもしれない。でも僕は、自分が騙された悔しさと、騙されても泣き寝入りせざるをえなかった健全な旅行者達の無念を晴らしたい……という勝手な使命感が湧き上がり、もう一度騙された両替所に戻ることにした。

無理だと思っていたけど、意外とあっけなく取り返せた。その時のストーリーを全て話そうと思う。

バリ在住者から聞いた比較的レートの良い両替所

moneyexchange
BMCという銀行–写真撮影時、日本円の交換レートは128.20

海外旅行中、必ずといっていいほど必要になる両替え。どこで替えるかによって、両替レートが変わる。当たり前だけど、レートが悪い場所で両替えするより、良い方で両替えしたい。おおよそのレートの順番はこんな感じかな。(日本の空港で替えるのが一番レートが悪い)

日本の空港→現地の空港→日本の銀行→現地の銀行→現地ショップで両替

ほとんどの場合、現地ショップの両替レートが一番良い。でもこれには落とし穴がある。その理由は後述します。

ふーさんの友達でバリ在住のKちゃんからあらかじめ教えてもらっていた比較的レートの良い両替所は、銀行でした。

僕らは教えてもらった銀行を見つけ、ふーさんはそこで両替しました。僕は他の国での両替経験から銀行よりレートの良いであろうショップの両替所を探すことにしました。

銀行よりレートの良い両替所発見!

バリ島のクタ周辺には両替所が至る所にあります。両替レートの書かれた看板を置いた服屋や雑貨屋がたくさん。銀行のレートを基準にして、それよりも良いレートのお店を探した。歩く度にレートは良くなっていき、ここにしようと思ったところは小さな服屋でした。

ふーさんが両替した銀行では1円=129ルピアだったのが、この服屋では133ルピア。仮に銀行と服屋で一万円両替したら、服屋の方が40,000ルピア(当時のレートで、おおよそ300円ちょい)得になる計算。

ナイスやん!ちなみに40,000ルピアあったら、平均的なレストランでナシゴレンとかミゴレンが食べれるくらい。

疑いの目で、チェック開始

お店に入って、1人だけいた店員にマネーエクスチェンジをしたいと伝える。全部替えなよ~と言われたが、僕は4万円分だけ替えると決めていたので、予めiphoneの計算機でレート計算していた。店員もその場で計算機を取り出し、レート計算後の金額が提示された。

あちら系あちら系

うん。間違いない(ここまでは順調)

お店の計算機のみを使うと、計算機に細工がしてあって、計算自体が既にボッタクられている可能性があるそうです。なので、計算する時は必ず自分達の計算機を使った方が良いです。

レートの計算後の数字にOKを出すと、店員がお札を綺麗にテーブルに並べてくれる。インドネシアのお金の中で二番目に高いお札である50,000ルピア札を20枚ずつ。50,000ルピア×20=100万ルピアだから、計算がしやすかった。うちはボッタクリしませんよと言わんばかりの丁寧な対応に、疑ってしまっている自分が少しだけ恥ずかしくなった。でも、この確認は大事だからね。

数え終わった札束をどこに置けば良いか聞いたら、ここ(テーブル)でいーよー、と。親切やなぁ。5,320,000ルピア分なのでまぁまぁ枚数が多い。

50,000ルピア×106枚

20,000ルピア×1枚

で、計107枚。

あちら系あちら系

OK!完璧!!

全部数え終えて、間違いなく107枚あったのを確認した。

店員が、札束を全てまとめて輪ゴムで止めて渡してくれた。こんだけ札束が分厚いと一気にお金持ちになった気分。実際は4万円分しかないけど…。

2日目の午後にしてようやく両替して現地のお金を手に入れたことと、すんなり良いレートで両替出来たことで気分が良くなったのか、服でも買うか~という気になった。安いし。

自分用にBINTAN(バリのビール)と書かれたタンクトップを買い、ふーさんにも気に入ったのあったら買ってあげるよーっと。

ヤッシーヤッシー

るんるんじゃねーか。

結局気に入ったものがなく、ふーさんは何も買わずにお店を出ることにしました。店員にありがとうと言ってぷらぷら歩き出しました。

日本語ペラペラの怪しいおっちゃんに教えてもらった両替所の闇

ふーさんふーさん

すごいね!私は怖くてあーゆーところで両替出来ないよー

あちら系あちら系

ちゃんと計算して、ちゃんと数えて間違いなければレート良い所で変えた方がいいから

と、ドヤ顔でふーさんに語っていた。マッサージオバちゃん達に次々にキャッチされながらもテクテク歩いていく。途中、先ほどの服屋のレートよりさらに良いレートの両替所がありましたが、気持ちはもう十分満足していました。

ひと通りクタ周辺の街の探索を終え、ホテルに戻っている時に変なおっちゃんと出会った。(変なおっちゃん沢山いるんだけどねw)

あちら系あちら系

あのバーカウンター付きのバス面白いよね。

街の人街の人

あのツアーは街を2周くらいして5000円。

ん?ふーさんに話しかけたはずなのに、見知らぬおっちゃんが日本語で話しかけてきた。ここに来るまでにも何人もキャッチの方々に日本語で話しかけられてるから、正直またか…という感じでした。

でもこのおっちゃん何かを売り付けるというより、自分の身の上話(奥さんは日本人で離れ離れに暮らしてるとか)や日本人のLINE友達が最近の地震を心配してメッセージをくれただとか、どことなく雑談的な話をしてくる。まぁ結果的に仲良くなって何かを紹介して手数料を貰うんだろうなぁ…なんて思いながらなんとなく面白かったので話だけ聞いていた。するといつの間にか両替の話になって、

街の人街の人

両替は気を付けてね!お金を数えている時や渡す時に、バレないようにサッとお札を抜いてるんだよと。

あちら系あちら系

…………えーーー!まじ?ちゃんと数えたけどそう言われると心配になってきた。

街の人街の人

大丈夫?あそこで数える?

(おっちゃんは小さな事務所みたいな所を指差していた)いや、それはそれでおっちゃんのテリトリーに行くようで怖い…。

あちら系あちら系

いーよいーよ、ありがとう。ホテルに戻って数えてみる。

結局なんだったのかよく分からんおっちゃんだったけど、両替で気になる情報はくれた。信じたくなかったけど、僕らはホテルに戻ってお札を数えてみることにした。

ごめん、泣き寝入りはしたくないから…

全部で107枚のはず……10,20,30……70枚くらい数えた所で、明らかに足りない事を実感した……。日本円で7000円分くらい抜かれてる!あのヤロー……。

いい奴だと思ってたのに、一瞬で憎むべき相手に変わった。親切な一連の行動はその為か。

ふーさんふーさん

あの店員さん別れ際にずっと下向いて目合わせなかったから、ちょっと怪しいとは思ったんだよね。

あちら系あちら系

ふーさんの観察力は高い。俺なんてシャイな兄ちゃんだなくらいにしか思ってなかった…。

とりあえずホテルをチェックアウトして、ホテルのバーでランチをすることに。持っていたドリンク一杯無料チケットが寂しく見える。

レストランの店員さんが南国特有の笑顔でメニューを持ってきてくれたが、騙された悔しさでいっぱいだった僕は、食べるものなんてなんでも良かった。むしろそんなに食べる気分でもない。それより早く両替した服屋に戻って、あのクソヤローをぶん殴りたい。というのは言い過ぎだけど、このまま黙ってもいられなかった。

ランチ中に、ボッタクられたお金をどう取り戻そうか、どんな手段があるかを考えた。矛盾してるかもしれないけど、不思議と気持ちは落ち着いていて、頭は冷静でした。でも、ふーさんが心配そうに見てくる。

あちら系あちら系

Kちゃん(バリ在住のフーさんの友達)にボッタクリ店員ぶん殴っていいか聞いてみて!

と、言ってみた。(半分本気で半分冗談w)

ふーさんがさらに不安そうな顔になった。…ので、この辺でやめとく。実際問題お金は返して欲しいけど、店員はしらばっくれるんだろ~なぁ。……お金が返ってこないならせめて気持ちを沈めるために一発。悪いのは完全に向こうだし。と、いうくらいのことだと思う。

ただそれだと危険なリスクもあるしね。僕の中の現実的な方法はもう決まってた。少し仲良くなった日本語の話せる現地人に、例のボッタクリ両替所までついてきてもらって話をつけてもらう。現地の人で日本人にも好意的な人達は、それぞれの気持ちを理解してくれて、穏便に済ませようとしてくれると思ったのです。

その計画をふーさんに話し、納得いかなそうな顔をしていたが、

ふーさんふーさん

バリの人は争いごとが嫌いそうだから、変に首を突っ込まないんじゃないかな。

あちら系あちら系

行くだけいってダメなら諦めがつく。泣き寝入りはしたくないから

と伝えた。ふーさんはずっと不安そうな顔だったけど、ホテルで待ってていーよと言っても、付いてきてくれると言ってくれた。気持ちを汲んでくれて、ありがとう。

失敗に終わったパーティー(仲間)集め

海外ドラマみたい。目的を達成するために仲間を集めるなんてさ。宛は2件あった。両替所の闇を教えてくれた日本語ぺらぺらの変なおじさん。そして、真っ黒なサーファーのモナさん。モナさんはこの旅行中に後々もいろいろお世話になる人。

会ってからけっこう時間が経っちゃったけど、まずは変なおじさんを探しに行く。さっきいた所にいない……諦めよう。

次にサーファーのモナさんの所に向かう。モナさんは仕事だからいなくならんだろう。

あちら系あちら系

モナさん!

モナさん:おー。どしたの?サーフィンする?

あちら系あちら系

いや、実はお金両替して取られちゃった……。

モナさん:そーなの……?

モナさんは難しい顔をしてる。

あちら系あちら系

返してもらいにいってくる!モナさんにお願いがあるんだけど……ダメなら無理しないで欲しいんだけど……出来ればそのお店までついてきて欲しいんだ。

モナさん:ん~たぶん取り返すの難しいと思う……。

近くにいたイケメンサーファー(後に僕のサーフィンの先生に)俺らが行くと喧嘩になっちゃうから、行かない方がいいよ。行くなら早く行って、ずっとお金返してくれるまでそこで待ってるといーよ。向こうも分かってるから。ダメなら警察もあるから。

あちら系あちら系

うん、ありがとう。ごめんね、仕事中だしね。

一緒についてきてはくれなかったけど、モナさんの心配してくれてる顔に感謝し、イケメンサーファーのもっともな助言に勇気をもらった。

仕方ない。そもそも僕の問題だし。

あちら系あちら系

ふーさん、ホテルで待っててもいーよ。

ふーさんふーさん

一緒に行く。

危険を顧みず、ふーさんはついてきてくれた。

意外とあっけなかったお金を返してもらうまでのやりとり

店の場所はしっかり覚えていて、近づくたびに握りこぶしに力が入るので、手をパーに広げて気持ちを落ち着かせる。そして、英語でなんて言おうか考える。

あちら系あちら系

(Give me back my money,I know you)(Not enough my money so give me back my money)( I will go police now)……なんて拙い英語だろう……笑 でも言葉で言わなくとも、僕が戻ってきて怒ってることでやった本人は何を言わんとしてるか分かることだろう。

ここだ!ふとお店の中を見ると、誰もいない。

男性スタッフ男性スタッフ

へい、両替?

もしかして、店員が交代したのか……。こいつに言っても知らないっていわれんだろーな。

男性スタッフ男性スタッフ

両替したい?

うーん。なんて言おうか……。

あちら系あちら系

I did it.(もう両替はしたよ!)

男性スタッフ男性スタッフ

両替え…

あちら系あちら系

I did it.(もうしたって、うるせーな。ちょい強めに。)But other guy mistaken chenge the money so……

男性スタッフ男性スタッフ

Okay.I give back your money.

えっ……。ほんとかぁ。まぁ、目は優しそうだ。い、いや、だまされないぞ!でもとりあえず店の中に入る。

男性スタッフ男性スタッフ

いくら替えた?

あちら系あちら系

4万円。

店員も日本円だったからすぐ分かったみたい。先に4万円を返してくれた。それから僕も両替したルピアを全て返した!そのやり取りの合間に、店員は計算機をおもむろに叩き出して数字を出した。その数字は、お金を抜かれた後に僕が両替でもらった額だった。

あちら系あちら系

(こいつら、ボッタクリレートを決めてやがる)

ショルダーバッグに入っていた両替と一緒に購入したタンクトップも返そうとした。

男性スタッフ男性スタッフ

No give you.(それはあげるよ)

あちら系あちら系

I don’t need!(いらない)

いらんわこんなもん!と思ったが、くれると言うので頂戴しときましょーか。実際気に入って買ったしwこの無駄にした時間に比べたら全然足りないくらいだけど。

男性スタッフ男性スタッフ

あいつ(ぼったくったやつ)がごめんね。

オメーも他の人にやってんだろ~がっ!と思ったが、

あちら系あちら系

君は優しい人だけど、彼は嫌い!

と、穏便に捨て台詞を吐いておいた。ともあれ、無事にお金取り返せて気分もスッキリしました。証拠もなにもないから無理だと思ってだけど、意外とあっさり成功するもんだな。きっと向こうも変な騒ぎにしたくなかったんだろぅ。

ふーさんふーさん

その身長と黒さと、なんて言おうかイライラしてる感じが相手も怖かったのかもねw

いつもあちら系って冷やかされる肌の黒さと、流暢じゃないカタコトの英語が役に立ったということですな。

一件落着!そーだ、モナさんに報告しに行こうっと。

お金取り返した後、晴れやかな気分で乾杯w

あとがき~難しい選択。せめて被害にあう方が減りますよーに~

これはたまたまうまくいった例だと思って下さい。悪いことをしてる人達に言いがかりをつけた場合、更にこちらに危害を加えてくる可能性もあります。騙されて、悔しくて悔しくて、楽しい旅行の気分が台無しになったと怒る気持ちは、本当によく分かります。お金取り返したい、仕返ししてやりたい!って気持ちも。

でも、身の安全が第一で、キッパリ諦めることも必要なのかもしれません。我慢さえすれば、危険やリスクを背負わなくていいし、一緒にいる人も嫌な気持ちにさせないでいい。お金は無駄になるかもしれないけど、時間は無駄にならない。

僕は結局、泣き寝入りせざるを得なかった日本人の無念の為と言いつつ、一番は自分の悔しさを何かの形で晴らしたいからだった。そのせいで、一緒について来てくれた人まで危険にさらし、悲しい気持ちにさせてしまった。

取り返しに行くのか、それとも無かったことにして忘れる事を努力するのか、難しい選択ではあると思います。こういったケースの判断は、いろんなリスクを考えた上で行い、どちらを選択するにしろ、出来る限り感情に流されず冷静に行動するように、僕も気をつけるので皆さんも気をつけて下さいね!

最後に言いたい事!せめて、騙されてぼったくられて悲しくて悔しい想いをする人が少しでも減りますよーに。日本と違って、お金を稼ぐ手段が少ないし難しいかもしれない。それでも海辺で頑張って声をかけているサーファー達のように、人を騙したりしなくてもお金を稼げる事に、あのクソヤローが早く気づきますよーに。